「黒と茶の幻想」(恩田陸)
誰も救われない、でもそれなりに結末は爽やか 「黒と茶の幻想(上)(下)」(恩田陸) 講談社文庫 学生時代の同窓生の男女四人は、太古の森をいだくY島へと旅に出る。深い森に踏み入った四人は、お互いの過去に横たわる「謎」に意識...
誰も救われない、でもそれなりに結末は爽やか 「黒と茶の幻想(上)(下)」(恩田陸) 講談社文庫 学生時代の同窓生の男女四人は、太古の森をいだくY島へと旅に出る。深い森に踏み入った四人は、お互いの過去に横たわる「謎」に意識...
その後味の悪さこそ、本作品の味わい 「麦の海に沈む果実」(恩田陸) 講談社文庫 北の湿原地帯にある全寮制の学園。二月最後の日に転入してきた理瀬は不安に襲われる。三月以外の転入生は破滅をもたらすという言い伝えが学園にあった...
読み手の脳内に増殖拡大する恩田パラレル・ワールド 「三月は深き紅の淵を」(恩田陸) 講談社文庫 教えられた家は、坂の上にあった。だらだらした坂は年季の入った灰色のコンクリートで、丸い輪っかがいっぱい型押しされていた。鮫島...
日本文学は、多様なジャンルに分化し、発展し続けている 「日本文学100年の名作第10巻 バタフライ和文タイプ事務所」 新潮文庫 「バタフライ和文タイプ事務所 小川洋子」「私」の勤めるバタフライ和文タイプ...
15歳の夏に読む長編小説 読書の醍醐味は長編小説の読破にあります。でも、普段それを読み通す時間の確保は難しいと思います。だから夏休みは読書に最適なのです。 もっとも中学校3年生にもなると受験を控え、それどころではないとい...
虚構の現実化が巧妙な語りによってなされていく 「かたつむり注意報」(恩田陸) (「日本文学100年の名作第10巻」) 新潮文庫 「かたつむり注意報」(恩田陸) (「いのちのパレード」) 実業之日本社文庫 旅人の「私」...
まったく違いました。 「エンド・ゲーム 常野物語」 (恩田陸)集英社文庫 常野一族としての 特殊能力をもって 「あれ」と戦い続けてきた時子。 父は遠い昔に失踪し、 今また母・暎子も意識不明となる。 一人となった時子は、 ...
謎解きが沸騰点に達したところで語り手交代 「蛇行する川のほとり」 (恩田陸)中公文庫 憧れの美少女先輩・香澄と 芳野の2人から、夏休みに合宿を 持ちかけられた毬子。 期待を膨らませて訪れた 「船着き場のある家」は、 かつ...
恩田陸、恐るべし 「夜のピクニック」 (恩田陸)新潮文庫 全校生徒が 24時間かけて80kmを歩く 高校の伝統行事「歩行祭」。 貴子は特別なこの日に、 自分の中で賭けをした。 それは同じクラスの融に 声を掛けるということ...
新しい形を模索したSFの香りのする純文学 「EPITAPH東京」(恩田陸)朝日文庫 東日本大震災を経て、 刻々と変貌していく 《東京》を舞台にした戯曲 『エピタフ東京』を 書きあぐねている”筆者K“は、 吸血鬼だと名乗る...